監修:埼玉医科大学教授・理博 和合治久
リズムやメロディ、音の周波数とゆらぎ、そして和音や倍音などは、音楽を構成する音響学的な要素としてよく知られています。これらの要素の中で、最近、周波数の意味が特に論じられるようになり、4,000Hzあるいは528Hzという特定の周波数の音が注目されるようになりました。特に4,000Hzという高い周波数の音は、人間の頚椎(首)の上にある延髄という脳の部位から両耳を結んだ線上の中心に位置する視床下部という自律神経の中枢に幅広く波及する特性があるため、この部位に存在する副交感神経に作用します。この結果、心身を安静状態に導くことができ、今日、大きな社会問題になっている交感神経優位で生じるさまざまな生活習慣病を改善させることがわかってきました。例えば、この高い周波数の音を豊富に含む音楽に聴き入ると、だ液の分泌が促進したり、血圧・心拍がすぐに安定する、あるいは体温が上昇するなどの生体反応を好き嫌いに関係なく感じることができます。したがって、この部位を効果的に刺激する副交感神経刺激音楽は、「聴く音の栄養素」として、健康維持や健康寿命の延伸にたいへん役立っています。
一方、古代から伝わる基本的な音階であるといわれる「ソルフェジオ音階」には、528Hzという低い特定の音が含まれています。このソルフェジオ音階は、7世紀はじめ、ローマ教皇のグレゴリウス一世が編纂した礼拝音楽である「グレゴリオ聖歌」に用いられており、リスナーに美しく穏やかな気持ちを与え、心身を癒す働きがあります。また、528Hz音は人間の腸に響く特性があるため、そこに分布する副交感神経である迷走神経の一部に波及していきます。そして、腸は「第2の脳」といわれており、心身の安定に関与する「幸せホルモン」であるセロトニンが産生される結果、自律神経のバランスが整ってくると考えられています。実際、528Hzの音に聴き入ると、体温が上昇したり、血圧が安定する、あるいはストレスホルモンが減少する、だ液の分泌が促進する、などの生体反応が誘導されてきます。その他にも、集中力を高めることや睡眠を促すことなどの効果が認められています。したがって、528Hzの周波数の音は、心身を安静モードに導く副交感神経を効果的に刺激する音として認識できるのです。
さて、私たちが今日聞く音楽の「基準周波数」は、国際標準化機構(ISO)によって、A=440Hzに調律されています。この基準周波数を少し下げた432Hzに音楽を調律することによって、音楽がより美しく脳神経系に響き、心と体が調和することが知られています。数学的にみると、432Hzの音は「宇宙の規則性」と一貫しており、振動や光、空間や時間の統一性に影響するともいわれています。実際にA=432Hzでチューニングされた音楽は、音質にいっそうの温もりと明朗さを与えるとともに、空間をより広く全体的に優しく包み込む作用があります。
このたび世に出された「432+528 music」は、「ソルフェジオ周波数528Hz」の音と「宇宙の規則性を帯びた周波数といわれる432Hz」の調律とをうまく共存させた画期的で新たなジャンルの音楽であり、リラックス効果と安心感は素晴らしいものです。特に、528Hzの信号音がロングトーンとして明瞭に感じ取られ、心身を癒す効果は抜群といえます。魂が宇宙へと解き放され、心身が自由になれる音楽によって、心と体の調和を図り、人間の健康を支える自律神経のバランスを整えつつ、健やかで平和な生活を送ってほしいと強く願っています。加えて、こうした音楽を活用し、動植物の命を支えている細胞の水環境に優しい波動として響かせながら、地球上のすべての生きものの健康を維持させてほしいと思います。